英単語暗記 ー「思い出す」学習法が記憶を確かなものにする

前回のブログで、「英単語を覚えられない子は記憶の定着を怠(おこた)っている」と書きましたが、どんな風に怠っているかを説明しましょう。

実は記憶には2種類あり、それぞれ「短期記憶」「長期記憶」と呼ばれています。

「短期記憶」とは、外部から得られた情報を一時的に保持する記憶で、たったの数十秒から数十分で消えて行きます。

「長期記憶」は、比較的長期間に保持される記憶のことで、主に年単位で記憶されます。

英単語や英文を初めて学習したときは、まずは「短期記憶」として頭に収められます。短期記憶は数十秒から数十分で無くなってしまいます(つまり忘れてしまうのです)。英単語・英文は、長期記憶で記憶しなければ、役に立たちません。

どうすれば、せっかく一時的にでも暗記した英単語を、いつまでも頭に残る長期記憶にすることができるのでしょうか?

それは「思い出す」という作業を定期的に行うのです。以下にその手順を書きます:

(1)学校の授業で英単語や英文を学ぶときにすること。

先生の説明を、できるだけその場で「理解」する。(「理解」は暗記を手助けするので、まずは「理解」に重きをおいて下さい)

(2)習った当日の夜に、習ったことを思い出す。「理解した」内容を思い出す。

初めて習った英単語や英文は、思い出して書いてみる。【15〜30分程度の学習】

(3)習った翌日の夜に、短時間で良いので前の日に習ったことを思い出してみる。前の晩に書いた単語を書いてみる。【10〜20分程度の学習】

(4)一週間後に習ったことを思い出してみて思い出せたら、その英単語や英文は長期記憶になっています。【10分程度の学習】

(5)これを毎日習った内容に対して積み重ねて行く

このように「短期記憶」で一時的に暗記した内容は繰り返して思い出さないと長期記憶になりません。

夕方に塾に行くお子様も多いでしょう。すると日中に学校で学んだ内容を「思い出す作業」(長期記憶にする作業)ができなくなってしまいます。そういう場合は、お風呂の時間やトイレの時間を利用するのも一つの方法ですが、とにかく「思い出す」時間を確保することが重要です。

個人的な意見ですが、学校で学んだことを長期記憶に移す作業の時間を奪うほど、子供を塾に長時間拘束するやり方には反対です。「塾漬け」のお子様ほど学力が伸びません。「塾漬け」はお子様の思考力を奪い、暗記のための時間を確保できなくなります。

幼稚園児から高校生まで英語学習を指導する中で、様々なお子様の大学受験を手伝ってきましたが、最終的に大学受験に成功するお子様は、「自己学習 self-learning」のできるお子様でした。塾を必要最小限に抑え、自分にとって本当に必要な学習を見極めることのできるお子様、「短期記憶」を「長期記憶」に持っていくための「時間の確保」の重要性を知っておりそれを実践できるお子様、「理解」していなければ真の暗記ができないことを体で知っているお子様、そういうお子様こそ、最終的に難易度の高い大学へと進学していきました。

暗記にはコツがあります。そのコツを身につければ、暗記に費やす時間を、本質を理解するための奥深い学習に使うことができます。

ミラクルメソッド 英単語1200は、英単語を覚えやすく分類しています。このやり方は、できれば中学1年生になる前、つまり小学生の間に身につけて欲しい内容ですが、中学1年生になる直前、あるいは中学1年生の夏休みで学習しても構いません。

今回のブログで書いた内容、短期記憶を長期記憶に持って行くための反復学習は、中学1年生の英語学習にぜひ利用してみて下さい。英単語だけでなく、学校の教科書で習う英文や、試験のための暗唱例文の暗記にも使えます。

英単語暗記の「得意」と「苦手」を分ける2つのポイント

今回は、英単語暗記の「得意」と「苦手」を分ける2つのポイントについて説明します。

なぜ英単語の暗記が苦手なのか

学年ごとに覚えるべき量の英単語があり、受験にあたって必須と言われている数々の英単語があります。

日々の学校の試験をクリアする上でも、受験英語に打ち勝つ上でも単語力は欠かせませんが、暗記できる子となかなか暗記できない子の違いも大きいのではないでしょうか。

覚えるスピードが早い子の特徴として、単語をイメージで覚える点が挙げられます。

単語の意味をイメージして覚えるのがベストですが、そのほか受験対策向けに作られた語呂合わせや言葉のイメージを使って暗記したり(例:embarrass = エム(M:マゾであることを)をバラす →恥ずかしい、きまりが悪い)、単語を分解して頭に入れるなど、独自のイメージ法で単語を脳裏に焼き付け覚えてしまうという作業がおのずと頭の中で行われているのです。

これに対して覚えられない子はイメージ化や可視化ができず、その単語を頭から丸ごと覚えようとするので、単語が長くなり、複雑化するほど覚えにくくなっていきます。

英単語を「発音とつづり字のルール」(フォニックス)を使ってイメージ化、可視化して暗記する方法を、小学生のお子様に分かりやすく、具体的に示した教材が、【ミラクルメソッド 英単語暗記大作戦】になります。

また、単語をつづり字の特徴から分解して頭に入れる方法を学べるのが【ミラクルメソッド 英単語1200】となります。

これらの教材は、「音声」を「英単語のつづり字」に結びつけながら、同時にイラストを使って英単語の意味をイメージとして伝えますので、「リスニング」「スピーキング」のスキルもしっかり身につけることができます。

反復練習が嫌い

英単語暗記が苦手なお子様の特徴として反復トレーニングや同じことを何度も繰り返すことが嫌いという特徴も見られます。

英単語にしても漢字にしても、一度書いて覚えられるものではありません。

ライティングにしても、口に出して覚えるにしてもそうですが、一度や二度頭に入れたり、口に出したり、書いてみて「覚えた」と流してしまっては、おそらくその記憶は持続しないでしょう。

英単語が暗記できる子は一度で覚えられてしまうスマートな頭脳があるのではなく、何度となく復習し、少し時間を空けてはまたイチから見直して、記憶を呼び覚まし、記憶の定着を図っています。

英単語を覚えられない子はこの記憶の定着を怠っているケースが少なくありません。

つまり、暗記できないというより、「忘れて」しまうのです。

ですから、一生懸命やっているつもりなのに覚えられないという場合は、とにかく数をこなそうとして一度で暗記学習を終わりにするのではなく、記憶の特性を踏まえたやり方で行うことが効果的です。

それは、英単語は幾つかに的を絞ってそれを完璧に忘れないようになるまで反復をして記憶を定着させるやり方です。。次回のブログでは、この「記憶の特性を踏まえた暗記法」についてお伝えします。

お子様を、英語の苦手な大人にしないために

小学生の頃、小学校で習う英語が大好きだった子供達が、英語嫌い、英語が苦手の方向に方向転換していくのは、中学1年生になってからです。

その方向転換のきっかけは、英語の読み書きの学習、すなわち文字と英単語学習になります。

なぜ「文字」が入ってきた途端、あんなに楽しかった英語が楽しくなくなるのでしょうか?

それは英語が得意な大人と苦手な大人を観察してみれば分かります。

英語が得意な大人は積極的に外国人と触れ合おうとします。道に困った外国人がいたら話しかけて教えてあげるし、外国人が集まるバーに行って積極的に話しかけたりします。彼らの英語は、最初はそこまで上手ではないかもしれません。でも着実に上達していきます。そして最終的に英語の得意な大人になっていきます。

それに対して、英語が苦手な人に共通するのが、単語やフレーズ、文法や例文などを「暗記」する学習に時間を費やします。実際に英語で話をする前の段階に努力を注ぐわけです。そしてその後、会話するまでになるかというと、なかなかその段階には至らないのです。理由は単純です。文字を頼りに学習していると、とっさの「声」が出てこないのです。英会話は常にとっさの身体反応である側面があります。言いたい言葉を相手に分かる「発音」でとっさに言う。なぜとっさに言えないのでしょうか?

それは、中学1年生から始まる英語の義務教育で文字を教える時、発音とセットで教えないからです。「えっ?発音の問題は山ほど解かされたよ」と思われる方も多いでしょう。でもその学び方は、実際に外国人を前にして自分の口から出る「発音」には全く役に立っていないのです。

このように日本の英語教育では、あんなに楽しかった英語の学習が、中学に入って文字が出てきた途端、「音」を失ってしまうのです。発音の勉強さえも、問題集の、すなわち紙の上の発音問題に置き換えられてしまうのです。その一方で「リスニング」問題は必ずテストに出るようになりました。だから、音を失った学習をメインに据えて勉強させながら、リスニングはしっかり聞き取りなさい、と言われても、子供達には聞き取れるはずがありません。こうやって子供たちは、英語嫌い、英語苦手へと変わってしまうのです。

英語の得意な大人は、声に出して英語を言うことのできる人たちです。彼らは文字学習と同じくらい、音声を使った英語学習をしてきているのです。自分が発音できる単語は聞き取ることができます。(裏返せば自分が発音できない単語は聞き取るのが難しくなります。)だから、英語の話せる人はリスニングも得意なのです。

この「発音」の訓練は、文字学習とセットで行うのが最も効果的です。そして実は、お子様が英語文字(アルファベット)を初めて学ぶ時から発音を意識してスタートすると将来のお子様の英語嫌い、英語苦手を予防することができるのです。